ホームヘルパー跳びある記・8
Y子との付き合いをとおして
星 美代子
pp.858-860
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922513
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山裾の小川のヘリに蛇苺赤き実2つ流れにゆるる溪谷の岩の日だまりに羽干せる蜂の動きを犬見つめおり
日曜日の朝,私は犬を連れて近くの山道を気ままに歩く.ナラやくぬぎの林をぬけると,さやかな滝の音が聞こえ,大きな鳥が頭上をかすめて飛んでゆく.満山の緑につつまれ,静寂の中にいると,毎日の仕事の中で焦ったり,悩んだりしていることが急に遠のいてゆく感じで,サバサバとした気持ちになるから妙だ.さまざまな苦労はあっても歌を詠(ょ)み,心の浄化ができる美しい自然に恵まれた環境は何にもまして幸せだと思う.
私は木の切り株に腰を下ろし,大きく息をする.そして今改めてこの村に対する愛着を自分の心の中に確認する.
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