特集 看護の内なる役割の拡大へ向けて
医師の依存からの脱却を—患者I氏の食事をとおして考える
松村 悠子
1
1北海道大学医学部付属看護学校
pp.746-750
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919281
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はじめに
役割とは,孤立して存在するものではなく,それぞれお互いが歯車のようにかみ合って成り立つものといわれる.医師—患者—看護婦の関係も,それぞれの動的な相互関係のなかで変化を繰り返し,ある目標に向かってすすんでいくものである.患者が入院(あるいは外来受診)した時から,医師と看護婦の関係は患者を中心に動きだす.目の前に横たわる患者に対し,医師と看護婦がお互いに相手の考えを理解し,調整しながら役割を展開しなければ,患者にとって安全と安楽は保障されないのである.
私たち医療従事者の行動の動機づけは,患者その人の状態であり,決して医師の指示によってのみ動いているのではない.患者にとって,今何が必要とされているかを見抜き,それにこたえるためにだれが何をするかを決めていくことであり,一方だけでできない時,相手(医師あるいは看護婦)に対し,よき協力者とならなければならないのではなかろうか.ここでは私の脳神経外科勤務の経験から,事例を通して,医師と看護婦の関係について述べてみたい.
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