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医学関係の雑誌・単行本が“売れない”時代になっているようです。幸いわがBRAIN and NERVEは比較的好調な販売部数を維持しているようですが,ごく最近,BRAIN and NERVEを含む脳神経内科臨床関連の3つの月刊雑誌のうち,1つが休刊になったことは読者の皆さまもよくご承知のことと思います。かつての雑誌の強みの1つはその速報性にあったわけですが,最新の,すぐに役に立つ知識を手っ取り早く手に入れるという目的であれば,雑誌とネットでは勝負になりません。コストパフォーマンス(CP)という言葉はいまや誰もが普通に使うようになっており,コスパがよい,タイパがよい選択がいい人生の指標のように語る若者が巷に溢れています。では,コスパ,タイパは最近になって初めて出てきたトレンドか? 違いますね。私はコスパには実は中学生・高校生の頃から馴染んでいます。苦労して貯めこんだ小遣いの中からできるだけいい音の出るオーディオ機器を購入する目安として,CP(当時はコスパとは言いませんでしたが)は最大級考慮すべきことでした。「このスピーカーは2本で4万円だがCPが抜群によいのでお勧め」というような評論家の言葉を信じてアンプ,チューナー,スピーカーと揃えていったわけです。しかし,中高生の私であってもCPがすべてを支配する概念と考えていたわけではありません。オーディオ機器の値段と性能にはあるところまで直線的な関係があります(平たく言うと,金を出せば出すほど“値段に見合った”いい音になるということです)。コストを10かければパフォーマンスも10返ってくる。“コスパがよい”で評価される世界はそんなもので,CPがいい悪いといってもこの直線の右にあるか左にあるかという程度のことにすぎません。しかし,あるレベルを超えた機器になると,CPを超えた世界になってきます。コストを10かけてもパフォーマンスは1上がるかどうか,しかしそのちょっとした差異が決定的なものになる世界がある。金のない中高生に手の届く話ではありませんでしたが,いまでは……,まあこの話はこの辺にしておきたいと思います。

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