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あとがき
神田 隆
pp.1148
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202199
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本誌7月号はCOVID-19感染症の2回目の特集号でした。読者の先生方ももうお読みになられましたでしょうか。この文章を書いている最中も第7波はとどまることを知らず,私の住んでいる山口県でも,近隣の病院,老健施設などでクラスター感染が相次いでいます。以前のデルタ株と比較すると重症者の割合が明らかに低いのが不幸中の幸いですが,感染者の母数が増えてくれば重症者の数もうなぎ上りになって病床を圧迫するのは確実,この号が出る頃には収束の方向に向かっていることを祈るばかりです。
一方で,以前のような厳密な外出制限はかからず,徐々にですが対面での講演会,会議も増加しつつあります。とは言っても,ほとんどのものはWebで済まされていますね。私はCOVID-19パンデミック以前には,宇部と東京との間を平均して月4〜5往復,多い月で7往復していました。私が東京で勤務していた頃は,地方大学の教授がしょっちゅう東京で活躍されているのを見て,「この先生方は地元で本当にお仕事ができているのだろうか」などと軽口を叩いていたものです。しかし,実際に自分がその立場になってみると,会議などの実質的なことはもちろんですが,東京という全国から人が集まる場所で,対面で他分野の人と交流する機会を持つことが教授の職務としてとても重要なことがよくわかりました。この3年間でその機会はほぼ消滅しました。私自身は週末ゆっくり自宅で休養ができる時間が増えて,この小文も自宅の書斎でゆっくり書けて(以前は大体飛行機での移動中に書いていました)よかったとも言えるのですが,COVID-19パンデミックが終息したあと,以前と同じ形は決して復活しないでしょうね。
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