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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第6波のさなかに書いています。昨年暮れにはようやく日常が戻ってくるかと思った矢先でしたが,世界中をオミクロン株が席巻している中で日本だけ例外,と言うわけにはやはりいかなかったですね。先生方のお膝元の状況はいかがでしょうか。私の勤務する山口県は全国に先駆けてまん延防止等重点措置が敷かれました。対象区域はこの文章を書いている2022年1月28日の時点で34都道府県に拡がり,留まるところがありません。
今度の株は伝染力は猛烈に強いものの基本的に軽症で,大学病院の重症病棟がパンクするというような状況にはなっていないのが不幸中の幸いですが,授業はすべてリモート,学生の病院内立入りは全面禁止となっています。私は聴衆の表情や反応,理解度が読み取れないリモートの講義や講演がいつになっても好きになれません。この様な状況が1日も早く解消されることを願わずにはいられませんし,おそらく教員も学生も皆,同じように思っているだろうと考えていました。しかし,マスクで堂々と顔を隠すことができて,しかも教官や患者との1対1の関係を築かないで済むいまのCOVID-19状況下の臨床実習を歓迎している,好ましく思っている学生が一定数いることに最近気が付き始めました。こういう感覚は私だけが持っているのか,日頃学生に接することの多い読者の先生に是非お聞きしたいと思っていますが,COVID-19パンデミックを契機としたこのような学生マインドの変化があるとすれば,収束後もずっと引き継がれるものかもしれませんね。さすがにそういう学生でも,患者を手ずから診察できない脳神経内科実習にはフラストレーションが溜まるようです。私は実地の神経診察の機会こそが学生を神経学に引き込む最大の機会と考えていますので,一刻も早く日常に復する日が来ることを願わずにはいられません。
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