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あとがき
神田 隆
pp.296
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960770030296
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4年前から本誌では12月号をクリスマス特集と銘打って,神経学の関わる映画,芸術作品などを題材とした特集号を刊行しています。『神経研究の進歩』を受け継ぐ老舗の雑誌ですので,始めた当初は“まじめにやれ”とお叱りを受けるのではないかとびくびくしていましたが,幸い好評をもって受け入れていただき,昨年も「芸術家と神経学Ⅱ」を世に出すことができました。
次の特集を何にするか,というのは編集委員会の楽しい仕事であると同時になかなか骨の折れる作業で,次は映画の第2弾を,と知恵を絞りましたが,脳神経内科領域の疾患を正面から扱った映画というのは思いのほか少ないのですね。主要な映画は2022年の特集(「映画を観て精神・神経疾患を知る」)でほとんど出尽くした感があります。唯一の例外は認知症で,国内外10指に余る数の映画がリストアップできます。この中で次の特集に使えるものはないかと,2022年の特集で取り上げられていないものを観てみました。旧作を観るにあたり,ネット配信やBS,CSがとても便利になっているのにあらためて驚きました。私の学生時代には,旧作の映画を観ようと思ったら「ぴあ」(若い先生の中にはこの雑誌の名前すら知らない人もいるかもしれません)を片手に都内のどの映画館で何がいつ上映されているかをチェックしないといけなかった(これもまた暇な学生には楽しい作業でしたが)ことを思えば,本当にいい時代になったと思います。ただ,肝心の映画の内容ですが,脳神経内科医として,これはちょっと……と思うような描写も少なからずあり,特集号で紹介するのが憚られるものがむしろ多数派でした。

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