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あとがき
神田 隆
pp.286
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202323
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今年の冬は寒いですね。この厳寒の中,電気の供給を断たれたウクライナの人々の苦境はいかばかりでしょうか。寒さに加えてコロナ,円安,物価高と景気のいい話は全然聞こえてきませんが,少なくとも暖かい家と食べ物があって,砲弾が飛んでこない日本にいる幸せを噛みしめたいと思います。こういう時期こそ映画鑑賞,ということで昨年12月号のクリスマス特集でしたが,皆さまお読みいただけましたでしょうか。ざっと目次を見ただけでも,実に多種多彩な神経・精神疾患が映画の題材になっていることに驚かされます。神経系イコール人間そのものであると考えれば当たり前のことかもしれませんね。
映画と言えば,昨年11月に映画監督の大森一樹さんが逝去されました。彼は私の4つ年上で同じ大阪市の出身,京都府立医科大学の卒業生ということでずっと親近感を抱いていましたが,何といっても『ヒポクラテスたち』ですね。先生方はもうこの映画はご覧になりましたでしょうか。臨床実習に励む医学部6年生の日常をテーマとした青春グラフィティと呼べる内容で,医師であれば一度は観ておくべき,とてもいい映画だと思います。封切りがちょうど私が医学部卒業前後の時期と重なったこともあって,いろんなことを甘酸っぱい想い出とともに思い起こさせてくれる映画でもあります。特定の神経疾患を扱った映画ではないので12月の特集号には取り上げませんでしたが,終章近くで古尾谷雅人演じる主役の医学生が精神に異常をきたすシーンなど,三村先生にご解説いただけたらよかったかなと少し残念に思っています。
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