- 販売していません
- 文献概要
高齢社会における健康寿命の延伸の重要性がいわれるようになって久しいが,健康寿命と平均寿命の乖離は,依然改善されることなく続いている.高齢者の健康寿命を延伸し,元気な高齢者を増やすことは,少子高齢化の中で,医療経済的観点からも,また医療保険や介護保険の持続性の観点などからも,看過できない大きな課題である.一般診療科は,当該診療科を受診する患者の診断や治療を担当するが,リハビリテーション科はほぼすべての診療科と関わり,当該診療科と連携して患者の機能回復および障害克服に携わることで,活動を育む大きな役割を担う.さまざまな疾患から,患者が社会に戻って,活動を再開できるようになるための重要な役割がリハビリテーション科医にはある.
この高齢者とリハビリテーション科との関連について,我々もいくつかの取り組みを行ってきた.熊本県は大学病院が県内に1つしかなく,県内の公的病院などの施設が一体となった多施設臨床研究が実施しやすい環境にある.このような環境の中で我々がまず行ったのは,熊本県内の大腿骨近位部骨折の実態調査である.関連病院の先生方には大きな負担をおかけすることになったが,すべての関連病院が参加し,大腿骨近位部骨折と有意に関連する因子の同定と,同定された各因子の骨折発生へのインパクトを,機械学習を用いて明らかにした.このようにして同定された7つの因子に,転倒のリスクが多く含まれることに気がついた.高齢者の大腿骨近位部骨折は,高齢者で最も医療費がかかる疾患であることが知られているほか,骨折はその後の要介護のリスクともなることから,その対策は重要である.転倒を未然に防ぐリハビリテーション治療が,骨折を防ぐ取り組みにつながると考えている.これは骨折という1つの疾患の例であるが,他の診療科の疾患においても同様のことがいえると考えている.また,一般住民コホートとして,65歳以上の高齢者を登録し,要介護と関連する因子の同定についても調査してみた.ここにおいても運動能力は要介護化と有意に関連しており,要介護化の予防のためにも,やはりリハビリテーション治療が重要だと考えられた.
Copyright © 2025, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.

