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教育講座
高齢がん患者のリハビリテーション診療—超高齢社会に向けて
Rehabilitation for Elderly Patients with Cancer : Towards a Super-aged Society
辻 哲也
1
Tetsuya Tsuji
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
キーワード:
老年症候群
,
運動
,
サポーティブケア
,
ADL
,
QOL
Keyword:
老年症候群
,
運動
,
サポーティブケア
,
ADL
,
QOL
pp.1084-1090
発行日 2024年11月18日
Published Date 2024/11/18
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- 参考文献 Reference
はじめに
日本では,新たにがんに罹患した患者のうち65歳以上の高齢者が占める割合は70%を超えた1).近年,侵襲の少ないがん治療法や効果的な支持療法が開発され,高齢者でも積極的な治療を受ける機会が増加してきている.がん治療の進歩により生存率が上昇するとともに,担がん状態であっても生存期間の延長が可能となり,がんが慢性病化しつつある現在,特に高齢者では,がん診療において,限られた余命の間をいかに過ごすのか,すなわち療養生活の質が問われている.がん治療中の高齢者を対象としたアンケート調査では,人生において大切と思う機能として最も高かったのは生活機能(特に,排泄・食事・移動の自立)であり,最も低かったのは寿命であったことが報告されている2).したがって,高齢者のがん診療においては,がんを治す治療とともに,サポーティブケアを並行して行う体制の構築が必要とされる.その一環として生活機能の維持・向上を目的とした,がん患者に対するリハビリテーション医療は重要な役割を担う3).

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