特集 精神療法が知りたい
精神療法の世界のダイナミズムとおもしろさ
①精神分析―病んでいることの意味と生き方との関連性を明らかにして病気を見直す
妙木 浩之
1
1久留米大学文学部人間科学科
pp.20-23
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900704
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心の病の原因を,生き方のなかに位置付ける方法論
精神分析は,心の病の無意識的な原因や理由を発見して,それをその病んでいる人の生き方のなかで位置付ける方法論です。つまり病んでいる(あるいは問題を抱えている)ことの意味とその人の生き方との関連性を明らかにして,患者さんの心,その全体性のなかで病気を見直す作業をすることです。技法としては自由連想法を中心に発展してきました。
この技法は患者さんの人生を見直すことを含むので,長期間にわたることが多いのです。近年では,認知療法やその他特殊な心理療法が竹の子のように登場してきましたし,精神医学そのものが生物学的なものに傾斜しているので,「安い,うまい,早い」が精神療法の費用便益的,効率的な発想からみると,やや古典的な技法の感があります。
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