Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ヒルティの『幸福論』(1)―病むことの意味
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.598
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100326
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スイスの法律家ヒルティ(1833~1909)が1899年に発表した『幸福論』(草間平作・大和邦太郎訳,岩波書店)では,病者の心得や病いが人生で果たしうる積極的な役割が語られている.
『幸福論』の「病者の救い」という章では,「いよいよ病気とはっきり決ったなら,その人は病気のあいだ,いつも次ぎの二つのことを念頭においていなければならぬ」として,次のように病者の心得が語られる.第一に,健康はたしかに貴重な宝であるが,だからといって,健康を失えば絶対に不幸になるとはかぎらないこと.というのも,すべての人が時に健康でないこともあり,また病気のままで生涯の大部分を過ごす人も少なくないが,不幸な病人がいるのと同様に,幸福な病人も見いだすことができるからである.
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