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病む人の群
後藤 フミ子
1
1福岡県門司保健所
pp.52
発行日 1957年8月10日
Published Date 1957/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201475
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- 文献概要
人には様々な苦しみや不幸があるがそれ等を生ずる原因ともなる病むということは最も大きな苦悩である.特にそれが結核である場合長い年月と周囲の人の心労と多くの物とを費さねばならない.
療養生活のうちに与えられた啓示や精神的修養によつて健康で過したならばとうてい成し得なかつたであろう様な偉大なものを遺すことがある.病身で短命なるが故に驚異的な情熱をもつて香り高い芸術を後世に遺す人も数多い.しかしその様な人は一部分である.療養中社会復帰の日の為に計画を立て将来に希望を託し毎日を有意義に送る人も少くはない.その人達は或程度の生活技術を持ち財政的に恵まれている.少くとも精神面・生活面に計画性を持ち得る程豊かなのである.
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