特集 精神療法が知りたい
―特集にあたって―精神療法と看護との重なりとは
磯田 雄二郎
1
1静岡大学人文学部
pp.14-19
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900703
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なぜいま,精神療法なのか
本誌において「精神療法」を取り上げるという企画が編集者のほうから持ちかけられたとき,「どうしていまさら」というのが正直な感想であった。というのも「精神療法」の発展の過程において欧米にあっては,看護昔の果たした役割が大きいものがあったからである。そのことは,たとえばセシュエー★1(1971)やシュヴィング★2(1966)の業績としてわが国でも紹介されてよく知られている。
実際,看護という名のもとに,日常的な人院患者集団の管理を任せられる看護者にとって,精神療法は大きな魅力と手こたえを感じさせるものであったはずである。しかしながら,病棟管理という観点からすると,精神療法は一転して「患者を不安定にするとんでもないものである」ということにもなりかねない。それは精神療法に対する誤解ではあるが,しかし精神療法を受けはじめた患者が不安定になったり,自己主張が強くなって,病棟管理に困難をきたすような場合もあることは否定しきれないことである。
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