連載 ケアフルな一冊『誰か「戦前」を知らないか―夏彦迷惑問答』
言葉が消えていく
坂田 三允
1
1長野県看護大学
pp.67
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900265
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つい先ごろのことである。若者と話をしていて「やもたてもたまらず」といったら,それ何ですかと聞かれた。「嘆かわしい」といったら,それもわからないといわれた。二の句が継げなかった。それからしばらくして,同年代の友人と話しているときに「電車のドアの前にペタリと座りこんで通路を塞いでいる高校生に腹が立つ」といったら「あなたも年をとったわね」といわれた。
いつの世でも,年寄りは若者文化に難癖をっける。私たちが若かったころも,「いまどきの若い者は…」といわれていたのだと思うが,そのときは聞く耳を持たなかったから,何をいわれていたのかは覚えていない。
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