連載 ニュースウォーク・48
救急車から消えたもの
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.262-263
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902594
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オレンジ色の街の灯りが縦横に広がっている。電力事情も明かり文化も違う日本では見られない色の海だ。そんな夜景を眼下に1月の深夜,サンティアゴ(チリ)を飛び立った。翌朝まだ暗いダラス(米国)着。フライト時間9時間半。乗り継ぎカウンターの女性に「サンティアゴからですか。東京まで大変ですね」と慰められ,4時間後にはまた機中に。13時間半のフライトで,ようやく成田空港に帰り着いた。
合わせて23時間余の機中はきつかった。米国機に乗る以上テロの心配をしても仕方がない。それより長時間狭い座席に缶詰になってのエコノミークラス症候群のほうがよほど怖い。血栓が飛んで心臓がおかしくなったら,飛行中では県処置なし」だ。手足をもみ,狭い通路を歩く。もっぱら体を動かした。
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