連載 暮らしの手触り・第8回
アンラーニングという学び
坂井 雄貴
1,2
1にじいろドクターズ
2ほっちのロッヂの診療所
pp.244-245
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202110
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今年の桜は、開花が遅かった。十年前に医者になり、社会人としても初めての入職時の日。桜の木の前でこれから始まる医師生活に夢を抱き、緊張しながら写真を撮ったことを思い出す。長い冬が明けて、旅立ちと出会いがひと続きになる三月から四月の季節は、あらためて気持ちもぐっと引き締まる思いがする。
「十年一昔」というが、この春からは医師としていよいよ十一年目を迎える。今までの道筋を振り返り、時に医学生と進路の話をしたりすると、この十年間で医師のキャリアも多様化していると感じる。終身雇用制度の崩壊とも耳にするが、医師の世界なら医局に属していればキャリアのレールに乗れるような時代は終わりつつあるのかもしれない。先日数年来の医師の友人と久しぶりに話したとき、いわゆる大きな組織に勤めていても、コロナ禍の影響で海外の研究機関が受け入れできなくなったり、円安も重なったりと、海外留学に行くことがとても難しくなったという話を聞いた。
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