連載 「教え方」の本を読む!・8
学生も教員も「学びの共同体」となることで,学びに希望が抱ける―『教育の方法』
朝倉 真弓
1
1横浜市病院協会看護専門学校
pp.708-713
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101856
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自分で調べる方法を知らない学生たち
ある実習でのこと。下肢に浮腫のある患者さまを受け持たせていただいている学生に私は問います。「Aさんは,なぜ足がむくんでいるんだと思う? 調べてみた?」すると,学生は,「私,わからないんですよ。それで調べようと思ったけど,どうやって調べるのかわからなくって……。今日,先生に教えてもらおうと思っていたんです」と答えました。また,他の学生も,「私もBさんの清拭の手順を考えようと思ったんですけど,学校で習っていないので困っているんです」と横から口を出します。私が「1年生のとき,基礎看護学で清拭の演習をしたよね。そのときに習ったはずだよ」と返すと,「清拭の演習はやりました。でも『片麻痺』の患者さまの清拭はやってないですよ」と真剣に答えます。このような場面に遭遇することは少ない訳ではなく,私はため息をつきたくなります。
体位変換の講義でのこと。私は,仰臥位から側臥位に体位変換をするためには,手を胸部で組み,膝を曲げることで支持基底面をできるだけ少なくすることができると説明しました。すると,講義後の振り返りシートに「患者さまの膝を曲げて側臥位にすることが重要なのはわかりました。でも,膝が曲がらない患者さまはどうしたらよいのですか?」と書かれていました。他の講義でも同じようなことが多々あります。
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