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次号予告・編集後記
杉本
,
栗原
pp.356
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200184
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ユマニチュードは、ケアする人の「認知行動療法」なのではないか、と思う。「よかれ」としている“ケア”が実は認知症の人を怯えさせているのに、決められたケアはせねばと、時には抑えつけたり縛ったり、つらい気持ちを押し殺す。なんて苦しいことだろう。これぞ、べてる(p.331)のいう“苦労”のパターンだ。だけど、3分うまくいかなかったら、とりあえず退却するのがルールのユマニチュードは、その理念をして“苦労”のメカニズムを示唆し、自ら「認知」を変える時間をくれる。その技術をして、本当のゴールへの「行動」をも照らす。向谷地さんは「まず自分をケアする」ことから患者さんのケアは始まると言っている。イヴさんの言葉と不思議と共鳴する。ユマニチュードは、患者さんもあなたも傷つけない。あなたも患者さんも自由にします。…杉本
「リレーショナル・アート」と呼ばれる現代美術の分野があります。1998年にフランスの美術批評家によって提唱されたもので、たとえば「自作のカレーを展覧会の来場者にふるまう」というような、人と人との関係をつくる・表わす行為や体験そのものを表現形式として、人間や社会や関係性について、新しい見方を引き出すことが目的だとか。なんのこっちゃという感じですが、「その人が人間かどうかは、周囲の人がその人を人間扱いするかどうかで決まる」というユマニチュードも、べてるのSSTも同じかもしれません。相手との関係性を表わす行動を変えれば、その人との関係自体が変わっていく。自分や相手の見方も変わる。ケアの世界にこそすばらしいアートがある!と実感した号でした。…栗原
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