特別記事
患者中心の参加型医療の評価の視点―「患者満足」を組織として提供するために
和田 ちひろ
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1HCRM (ヘルスケア・リレーションシップ・マーケティング)研究会
pp.286-290
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901612
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「患者満足」という言葉が医療界で使われるようになって久しい。多くの医療機関が患者満足度調査を行なうようになり,患者からの意見をサービスに反映させ,患者のためによりよい医療サービスを提供しようと切磋琢磨している。ところが,患者のためにさまざまな取り組みをするうちに,職員が疲労して職員満足が低減してしまったり,どこまでが「患者満足」で,どこからが患者の「わがまま」かわからなくなってしまったりということも少なくない。
人を介して形のないものを提供するという意味において,医療は「サービス業」である。人を介してのサービスが提供される場には少なくとも2人以上の人間が関与しており,ある瞬間を互いが共有することによってサービスが生み出される。そのためサービス業においては,顧客と直接接する職員がサービスの質に決定的な影響を与える。患者と接する時間が最も長い看護師が満足していない職場では,いくら上層部が患者満足を声高に叫んでもスローガンを掲げるだけで現実のものとはならないだろう。さらに医療機関を取り巻くさまざまなステイクホルダー(利害関係者)との関係を構築していなければ,患者に幅広いサービスを提供することはできない。
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