医療の質の評価と改善 組織・運営・戦略におけるトータル・クォリティー・1
患者満足から広義のCSへ
今中 雄一
1,2
1九州大学大学院医学研究科医療システム学講座
2前:日本医科大学医療管理学教室
pp.658-662
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901859
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい医療管理の展望とトータル・クオリティー
昨今,医療内容や医療施設に関する情報への社会の欲求が高まり,高価な医療技術の発展や高齢化社会により消費に拍車のかかる医療資源の有限性が強調され,医療経営が困難化するなどで,医療の評価や情報開示などの変革が外部より迫られる環境となった.一方,医療界内部からも,医療やサービスの提供における組織運営を,旧来の非組織的なものからより近代的・合理的なものへ発展させようという気運が国内外で高まってきた.
日本は,製造業など一般産業界ではその品質管理の手法と文化の確立において世界をリードしたが,その品質管理手法と組織運営は,医療界においては性質の違いゆえにかあまねく活かされることはなかった.わが国の品質管理手法が海外で研究され各地の実情に合わせて展開される中で,より現場に展開されやすい形で医療にも適用が始まるようになった.その流れの中で発展した組織運営に関する重要な概念を“トータル・クオリティー”と呼ぶ.これはtotal quality management (いわゆるTQM)の概念に類似するが,管理する/管理されるという意味合いを避けるためにここではあえてman-agementの語を除いた.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.