連載 ニューヨーク人間模様・12(最終回)
あっと言う間に,また1年
大竹 秀子
pp.1020-1021
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901131
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あっけなく,時が過ぎていく。何かが変わりつつあるような,それでいて行きつ戻りつある,もどかしい自分がいる。
友人が,本を出した。ニューヨークに数か月違いで住みついて,似たような仕事をしてきた友人だ。人様からいただく仕事の中には,当然のことながら,時に無味乾燥で気に染まぬものもある。「食べるためだよね」,そうこぼしあった仲だ。読んで,愕然とした。なんてことだ,彼女はいつの間か「自分」を見つけていた。押し付けられた仕事をチャンスとして使い,その隙間に突破口を見つけて,読む人を勇気づけ,力づける本にまとめていた。そんな彼女を友人として誇らしいと思うとともに,取り残された自分が寂しかった。
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