焦点 ターミナルケアをめぐって
「尊厳死」「安楽死」と看護婦
真部 昌子
1
1川崎市立看護短期大学
pp.729-733
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
看護は,言うまでもなく人間の生死に関わる職業であり,これは時代を越えた普遍的な役割であろう.しかし,今日,医療は人間の生命の始まりから終わりまでをコントロールできる時代に突入し,QOLの向上へのニーズと相まって,「尊厳死」や「安楽死」が問われるようになった。1998年5月,厚生省が発表した「末期医療に関する意識調査」の結果によると,約7000人の回答者の70%が延命医療に否定的であり,そのうち13%が「安楽死」を望んでいるという注1,1).
しかし,「安楽死」は「安楽な死」を意味しているわけではない.「安楽死」は刑法上の罪に問われるものであり,尊厳ある死とは明確に区別されるべきものである.専門職としての看護には,患者の苦痛が緩和され,できるだけ「安楽な死」を迎えられるように援助することが求められてきたが,今後は「尊厳死」「安楽死」を求める患者の死への援助・対応について考えざるを得ないであろう.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.