連載 スタッフの倫理的感受性を高める ナースマネジャーがともに考える臨床倫理――臨床看護師が直面する倫理的ジレンマを紐解く・9
安楽死と尊厳死
竹之内 沙弥香
1
,
田村 恵子
2
,
浅井 篤
3
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻臨床看護学講座
2淀川キリスト教病院ホスピス
3熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.930-935
発行日 2010年9月10日
Published Date 2010/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101853
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安楽死とは
近年では,安楽死や尊厳死という言葉をよく耳にするようになった。しかし,わが国において「安楽死」と「尊厳死」の言葉の意味について,現在のところ社会的に合意されているとは言いがたく,看護師は各々の言葉がもたらす意味や,患者や家族からの安楽死や尊厳死の要望への対応について倫理的ジレンマを抱くことが多い1)。本稿では,東海大学安楽死判決や,日本尊厳死協会の定義をもとにそれらの言葉を説明し,尊厳死について事例を通して検討する。
1991年に起きた東海大学病院安楽死事件に対し,横浜地方裁判所は判決で安楽死を次の3つに分類している2)。
●積極的安楽死:苦痛から免れさせるため意図的積極的に死を招く措置を取ること。
●間接的安楽死:苦痛を除去・緩和するための措置を取るが,それが同時に死を早めること。
●消極的安楽死:苦しむのを長引かせないため,延命治療を中止して死期を早めること。
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