コラム:医事法の扉
第20回 「安楽死・尊厳死」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1197
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100662
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われわれが直面する終末期医療の問題の1つに「安楽死」があります.積極的な「安楽死」は,終末期の患者さんに対して自然の死期以前に生命を断絶する行為ですから,原則として,殺人罪(刑法199条)に該当することになります.
それでは,患者本人の希望・承諾がある場合にはどうでしょうか.この場合には,自殺幇助あるいは同意殺人罪(202条)に該当し,6カ月以上7年以下の懲役または禁錮に処せられる可能性があります.しかし,そもそも自殺自体を処罰する規定はないのですから,死期の迫った苦痛に耐えられない患者の強い希望で「安楽死」を選択することは,違法性が阻却されるべきだとする見解もあります.
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