連載 裁判例にみる看護婦の専門性・6
看護業務に対する評価の変化―褥瘡裁判判決の比較
高波 澄子
1
1北海道大学医療技術短期大学部看護学科
pp.474-477
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900839
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看護業務の1つである「療養上の世話」は,患者が精神的・身体的に最善の状態で医療が受けられるように,身のまわりを整える重要な業務であるといえる.その中でも,寝たきり患者の褥瘡予防は,原疾患による患者の苦痛を緩和し,治療の効果を上げるために不可欠なものである.また,褥瘡は看護婦の怠慢がつくるものともいわれる.
「看護婦には患者の褥瘡を予防すべき法的義務はない」とした1984(昭和59)年名古屋地裁判決(事例12)が看護界に大きな反響を呼んだことは,まだ記憶に新しいところであるが,昨年同種の問題を扱った判決が出されたので,今回はそれを取り上げる.2つの判決の比較を通して,裁判所の看護業務に対する評価の変化を探り,看護婦に期待される専門性について考える一材料としたい.
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