連載 裁判例にみる看護婦の専門性・2
看護業務の検討―医療(看護)過誤裁判例の考察から
高波 澄子
1
1北海道大学法学部
pp.144-147
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900773
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前回は,保健婦助産婦看護婦法(1948年7月制定,政令203号.以下,保助看法とする)の条文の解釈等を通して,看護婦の業務とは「療養上の世話」と「診療の補助」であり,これらは医師の指示を必要としない看護婦独自の業務であると捉えた.この結論については,保助看法の立法者の意思の推定や条文解釈から引き出した机上の理論であり,医療の現実を知らない者の理想論であるという批判もあるかもしれない.
しかし,看護業務の具体的な内容については,その当時の医療水準,看護水準,看護婦が働く医療機関の規模および環境,国民の医療への関心度,衛生思想の普及の度合い,あるいは国民が抱く看護観等を考慮した上で判断されなければならないということには,誰にも異論がないであろう.
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