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白内障術後眼内炎に関して医師の過失を認めなかった判決の教えるもの―千葉地裁松戸支部,平成14年3月29日判決―東京地裁判決と比較しながら
岩瀬 光
1,2
,
羽柴 駿
3
1岩瀬眼科医院
2武蔵野赤十字病院
3番町法律事務所
pp.1276-1279
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101342
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1.はじめに
千葉地裁松戸支部から白内障術後眼内炎に関する判決(以下,松戸支部判決)が2002(平成14)年3月29日に出された。白内障術後眼内炎に関しては2つ目の判決と考えられる。白内障術後眼内炎について最初に出された東京地裁,2001(平成13)年1月29日判決(以下,東京地裁判決)が医師の過失を認めた(臨眼55:1764-1765筆者論文参照)のに対し,この松戸支部判決は医師の過失を認めなかった。後述するように,この2つの事案は「時間経過」が極めて似ているが,医師の対応には差があった。2つの判決の結果を分けた点はどこにあるのかを分析し,眼科専門医の今後の対応の参考にしたいと思い筆を執った。
なお,東京地裁判決もこの松戸支部判決も双方控訴せず確定している。
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