マイオピニオン
人生は終わりのない成長の旅である
布袋 祐子
1
Yuko FUTEI
1
1荻窪病院皮膚科
pp.1036-1037
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207154
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2022年5月,東京都杉並区にある荻窪病院の院長に就任し,1年以上が経過した今,人および組織の成長について考える機会が増えました.各部署そして組織全体のボトムアップを目指せば目指すほど,専門的な医学的知識や技術だけではなく,「人間力」を養い成長することの重要性を強く感じています.特に大きな組織においては,個々の成長と人間性が組織全体の発展に直結していると考えるようになりました.学問的に優秀で,高度な技術を持つことも大切ですが,同時に人への思いやりや協調性,人間関係の築き方にも目を向けることが必要です.利他的精神を持たず自己中心的で協調性を欠く人々,もしくは成長意欲のない人々は,組織にとって望ましい存在とは言えません.職員一人ひとりが成長し,それが組織全体の成長となり,結果として素晴らしい医療を患者さんや地域に提供できると信じており,今回は人の成長について考えを述べさせていただきたいと思います.
従来,人は成人になると成長が止まり,それ以上の成長は見込めないと考えられていました.確かに周りにはなかなか変わらない,変われないように見える人々がそれなりに存在します.「あの人が今更変わるはずがない」と周りが勝手に諦めているケースもあります.しかし,ハーバード大学のロバート・キーガン教授の「成人発達理論」では,成人になっても人の知性や意識は成長し続けることができると提唱されており,考え方が見直されてきています.成人であっても,人生のあらゆる段階で成長の機会が待っているというのです.
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