昨日の患者
無念な想い
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.958
発行日 2013年8月20日
Published Date 2013/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104694
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生きとし生ける者,必ず死を迎え,そして死に際には様々な想いが去来するものである.無念の思いの丈を語って亡くなった患者さんを紹介する.
30歳代後半のTさんは小学校教師で,二人の娘さんの父親でもあった.彼は小学生時代に父親を胃癌で失うという家族歴を有していた.生来健康で,排便時に出血を認めたものの,痔だと思って放置していた.しかし,便秘も生じたため近医を受診し,直腸癌を疑われて来院した.精査の結果,多発性肝転移を伴う直腸癌であった.そこで,直腸前方切除を行うとともに癌化学療法を施行したが,肝転移巣増大や局所再発をきたした.
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