連載 Coda de Musica 心に響く音楽療法・7
人生の終わりにどんな一期一会を求めますか?—最初で最後の音楽療法
三道 ひかり
1,2
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
2日本音楽療法学会
pp.570-573
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208933
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「はじめまして,さようなら」
約1年にわたり,在宅ホスピスでのインターン音楽療法士として,晴れの日も雨の日も,雪や嵐の日でも歩いて患者さんの家へ向かった日々.本連載では,そこで出会った患者さんとの交流を紹介してきた.アマンダさん,ローズさん,エミリーさん,ジェーンさん,マイケルさん,そしてノアさん.音楽を介した彼・彼女らとの交流によって,音楽療法が何をもたらすのか,生きることとは何かを私は問いかけられた.
音によって魂が揺り動かされる人々,死を受け入れることの難しさ,そして,人間の命の未知なることを知った.その傍らで,心の叫びが聞かれずに亡くなっていった患者さんも多くいた.中には,たった1回,音楽療法を行っただけで亡くなってしまった患者さんもいた.在宅ホスピスに入った時点で体調が悪かったため,数日の中でケアが開始されたものの,すぐに息を引き取ってしまった.
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