連載 看護事故の舞台裏・18
転倒・転落事故①—適切な看護を受ける「期待権」
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.530-533
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200212
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高齢者は生理的な加齢現象やさまざまな病態により,健康な若年者と比べると転倒・転落事故を起こしやすいことは誰もが認めるところでしょう。脳や心臓の病気で生じるめまいやふらつきはもちろんのこと,足腰の不調でも転びやすくなりますし,あるいは血圧降下薬や睡眠導入薬などの影響で転倒・転倒事故につながる事例も決して少なくありません。
もし自宅やその近所で転んでケガをした場合には,ある意味で仕方のない事故,もしくは自己責任という見方も可能です。ところがもし病院に入院中の患者さんや,介護施設でケアを受けている高齢者に転倒・転落事故が発生した場合にはどうなるのでしょうか。「不可抗力」による残念な事故でした,という説明で本人や家族が納得すればよいのですが,施設側の管理責任を追及して紛争へ発展する事例が多いことも事実です。そこで連載の18回目は,病院内で何度も転倒・転落を繰り返した裁判例の舞台裏を探ることにします。
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