連載 裁判例にみる看護婦の専門性・7(最終回)
患者の「適切な看護を受ける期待」に応える
高波 澄子
1
1北海道大学医療技術短期大学部看護学科
pp.556-560
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901738
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裁判例に映る看護に対する社会的評価
看護婦は,患者の最も近くにいる医療従事者として患者の回復を願い,日々の看護を実践しているが,その看護業務の専門性や看護婦の主体性といったものは,今,どのように認識されているだろうか──それを探ることをメインテーマとして,一論文1)をきっかけに始まった本連載も,いよいよ最終回を迎えることとなった.
初回で,連載をスタートさせるにあたり,基本的なところを押さえる意味から,保健婦助産婦看護婦法(1948年7月制定,政令203号.以下,保助看法とする)の条文の解釈等を通して,看護婦の業務とは何かをみた.保助看法5条において看護婦の業務として規定されている「療養上の世話」と「診療の補助」については,医師の指示を必要としない看護婦が主体的に行なうべき独自の業務であると捉えた.その上で,看護婦が主体性をもってこれらの業務に携わることが,究極的に,安全で効果的な治療を受けるという患者の利益につながることを基本に据えて,第2回以降のトピックスを展開してきた.
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