Japanese
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特集 転倒の予防とリハビリテーション
転倒・転落の疫学
Epidemiological review of fall amang the elderly.
鈴木 隆雄
1
Takao Suzuki
1
1東京都老人総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
キーワード:
地域在宅高齢者
,
危険因子
,
転倒予防戦略
Keyword:
地域在宅高齢者
,
危険因子
,
転倒予防戦略
pp.205-210
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100710
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はじめに
転倒は,何らかの原因により姿勢制御が不能になった場合,すなわち身体の正常位置が企図に反して大きくズレた場合に,姿勢反射で対応しえない結果発生する現象である.一方,転落は,階段や屋根といった高さのある所からの身体の落下として一般に定義される.厳密には両者は区別されるが,転落に関する疫学的データはほとんどないことから,ここでは転倒を取り扱うことにする.
最近,調査方法や項目を標準化し,地域の在宅高齢者を対象とした全国規模での転倒の年間発生率に関する調査がなされているが,それによると,65歳以上の在宅高齢者における1年間での転倒発生率はほぼ20%程度となっている.
転倒の原因あるいは危険因子はさまざまで複雑である.それは,高齢期の転倒が,老化や老年病,さらには物的環境など多種多様の要因が相互に関連しているからである.図1は転倒の危険因子を,身体的要因を主とする内的要因と生活環境要因を主とする外的要因とに大別して列記したものである.本論では,筆者らが最近行った調査から,地域在宅高齢者での転倒の実態と関連要因について概説するとともに,主要な転倒における内的な要因について述べる.
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