新連載 事例と判例で考える病院の看護水準と事故防止・1
転倒・転落
木村 ひでみ
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
pp.24-30
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100100
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はじめに
高齢患者の増加により,医療施設内の転倒・転落事故は増加し,事故,ヒヤリ・ハット事例を集めると,必ず転倒・転落が上位を占めます。ところが,この転倒・転落事故には,患者サイドの要因や環境問題など複数の要因が複雑に絡み合い,これといった有効な対策がなく,看護者も防止に苦慮しているのが現状です。
そして転倒・転落事故が発生し,不幸にも患者が死亡,もしくは重度後遺障害により医事紛争へ発展した場合,看護体制のレベルに応じて危険性を予見することができたのか(予見義務),危険性に伴い,適切な対策を講じていたのか(結果回避義務)が問われることになります。したがって,医療機関にとって転倒・転落を完全に予防することは難しいという現実があるにせよ,自院の看護水準に応じた対策を講じなければいけません。
今回は,参考になる転倒・転落の裁判例を2例紹介し,そこから学ぶことができる転倒・転落事故防止の考え方と問題点を,改めて整理してみることにします。
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