連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・8
安心と信頼のポライトネス・ストラテジーとは?
安井 はるみ
1
,
吉岡 泰夫
2
1神奈川県看護協会医療安全対策課
2別府大学大学院文学研究科・日本語教育研究センター
pp.787-791
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101555
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医療コミュニケーションの適切化
2007(平成19)年施行の第5次医療法改正では,新たに第2章「医療に関する選択の支援等」で,「(前略)提供する医療について,正確かつ適切な情報を提供するとともに,患者又はその家族からの相談に適切に応ずるよう努めなければならない」と定めている(下線は筆者)。医療を受ける「患者」が自律して自己決定ができるようにするためには,医療者の適切な情報提供だけでなく,患者が理解して自由な選択ができるような患者-医療者間の双方向のコミュニケーションが重要であることを示唆している。
このことは,単に患者・家族に医療関連情報を伝達することではない。医療者が患者・家族に病状や今後の見通し,行なわれる看護について説明した後に,情報を得た患者が自分なりにどのように解釈し,感じているのかについて医学的説明以外に患者と対話を継続し,信頼関係を構築することが求められている。
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