連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・31
むねのなかが あったかくなる時―『テディベアとどうぶつたち』『だいすきがいっぱい』
柳田 邦男
pp.164-165
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101145
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私の長男が幼かった頃,誕生日かクリスマスのお祝いに赤いこぐまのぬいぐるみをプレゼントした。もう40年ほど前のことなので,何歳の時だったか記憶がおぼろげになってしまったが,長男はそのこぐまを「ベアちゃん」と呼んで,寝る時にはいつも枕元に置いていた。小学校の1年生か2年生になるまで続いたろうか。ふるびて汚れても大事にしていた。子どもが安心して眠りにつくには,いわばエンゼルのような感触を与えてくれるものとして,ぬいぐるみの動物や人形がとても大事なのかもしれない。
そう言えば,浜崎あゆみの自伝的歌の中に,幼き日に父親が去っていく前夜,大きなテディベアを枕元に置いていったというのがあるが,この場合は心の安定とは反対に,父親喪失の悲しみのシンボルになってしまったと言えるだろう。
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