連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・34
子どもの笑顔は人生の子守歌―『アフガニスタン 山の学校の子どもたち』『だいすきなもの ネパール・チャウコット村のこどもたち』
柳田 邦男
pp.418-419
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101209
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昨秋,日仏文化交流の新しい形をめざして,パリでいせひでこの絵本『ルリユールおじさん』の原画展が開かれた時,私は実行委員会代表として,期間中ずっと会場に足を運んだ。趣味のカメラを持っていたので,会場を訪れる人々の表情を写真に記録した。カメラのファインダーをとおして見ていて感心したのは,パリの子どもたちの表情の豊かさだ。おそらく6歳から8歳くらいの子どもたちだろう,絵画教室の先生に連れられて,10数人の子どもたちが『ルリユールおじさん』の原画展を鑑賞しに2度もやってきた。そして,作者の案内で,原画を物語の流れに沿って鑑賞していったのだが,絵本原画を見つめる子どもたちの目の輝き,顔の表情の変化はすばらしく,思わず何枚も写真に撮ってしまった。
さまざまな風景や人物の写真集を出している写真家たちの作品のなかに,子どもの表情をとらえた写真が多いのは,カメラのファインダーをとおして子どもを見つめると,シャッターを切らないではいられなくなるほど魅せられるからなのだろう。自分でファインダーをのぞいているうちに,そんなことに気づいたのだった。そんな経験をしたものだから,今回は子どもをモチーフにした写真絵本あるいは写真集を2点取り上げることにした。
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