特別記事
ミスを経験した看護職者の行動変容とその要因―再発を防ぎ,看護行為の安全性を向上させる対応を求めて
鈴木 琴江
1
,
宮下 光令
2
,
数間 恵子
2
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻看護管理学博士課程
2東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻成人看護学/ターミナルケア看護学
pp.401-406
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100731
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はじめに
ミスの発生に対し,従来,医療機関ではミスをした個人を責める懲罰的アプローチをとる傾向があった。しかし,「人間とはミスをするものである」という認識が医療界に広まり,それを前提とした医療事故防止対策が求められている。医療事故の複合的な要因が明らかになるにつれて,「ミスから学ぶ」学習的アプローチの必要性が強調されるようになってきた。ミスから学び,将来のミスを防止することは最も堅実な対策であり,組織レベルにおいても個人レベルにおいても有用と考えられる。
残念ながら,医療事故には看護職者のミスによるものも少なくないため,看護行為の安全性の強化は緊急課題である。同時に,事故原因には医療に特有な多様で不確実な要素が関連し,ミスを完全になくすことは困難である。それでは,看護管理者はどのように対応したらよいのだろうか。
本稿では,ミス後の看護職の行動変容に関連する要因を調査した結果について報告したい。
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