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講座
行動変容理論について Ⅱ.行動変容の技法
Behavior Modification. part Ⅱ: It's Techniques
東 正
1,2
Tadashi AZUMA
1,2
1国立特殊教育総合研究所
2精神簿弱教育研究所 第一研究室
pp.197-202
発行日 1977年3月15日
Published Date 1977/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101436
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1.変容の方向
指導と呼ぼうと,訓練といおうと,それがひとを対象とした教育活動であるかぎり,働きかけには常に価値的判断を伴なうものである.歩けない子どもに,歩行訓練をするのは,その子にとって歩けるようになるのは良いことだという判断がある.読み書きの指導をするのは,それができるのは望ましいことだという考えにもとづいている.或は自傷行動の消失を意図するのは,そのような行動は悪いことだという前提のもとにであろう.行動変容の技法というのは,これらの目的をできるだけはやく実現させるテクノロジーであるといえる.ところがこの点が無視されて,価値的な見地からの批判に屡々出合うことがある.例えば,行動変容の技法は,独裁者が人民をコントロールするのに用いる危険性がある.だからよろしくないというたぐいの論法である.それがテクノロジーであるかぎり,用い方によって善にも悪にも利用できることは,何も行動変容の技法だけに限ったものではない.医学だろうと,原子力であろうと,要は何のために応用するかで善悪が決まるだけのことである.従って,価値的な問題は,理論上きりはなした方がわかり易い.本文で使用される望ましい行動とか,望ましくない行動とかいう言葉は,以上のような配慮をしたうえで用いている.
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