連載 組織マネジメントツール バランスト・スコアカードの基本のキ[3]
米国病院界のBSCの展開
熊川 寿郎
1
1東京都老人医療センター免疫輸血科
pp.240-244
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100459
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米国病院界における急速な普及
医療技術の急速な発展に伴い,米国の国民医療費は急速に増加し,1970年代後半にはGDPの7%を超えました。急増する医療費に対し,当時のレーガン政権下において本格的な医療費抑制政策が展開され,1983年にはDRG/PPS(Diagnosis Related Group/Prospective Payment System;疾患群別予見定額払い制度),1987年にはマネジドケアが導入されました。その結果,病院界全体に「病院の財務」と「医療の質」をバランスよく管理する必要性が生じてきました。また,患者の権利意識の向上により病院は外部に対して積極的に情報公開することを求められるようになりました。
1992年にBSCのコンセプトを発表したキャプランとノートンは,1996年にBSCの最初の本を出版しました1)。この年は公的部門や非営利機関におけるBSC導入の萌芽期となりました。米国の病院は以前より「医療の質」や「医療のコスト」を測定する指標を積極的に活用して来ましたが,1998年のChowらの論文によると,それまでに病院BSCの正式な報告はありませんでした。つまり,米国病院界にBSCが急速に普及したのは1999年以降と考えられます。
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