焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅲ)—20世紀から21世紀へ向けて
看護歴史に関する研究の動向と今後の課題
高橋 みや子
1
,
三上 れつ
1
1山形大学医学部看護学科
pp.493-503
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900584
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はじめに
看護歴史研究は,あまり知られていない。そこで,本稿では歴史研究方法の細部にこだわらず,わが国の主な看護学学会において発表された研究課題を分析対象とし,いかなる知見が見いだされているのかを中心に動向を概観し,今後の課題を提示したい。
長い間,全国規模の学会における看護歴史研究の発表の場は極めて少なく,看護学領域では看護史研究会,ナイチンゲール研究会が開催されているのみであった。1981(昭和56)年に,日本看護協会主催の第11回日本看護学会看護総合分科会から看護歴史も含めた文系の研究発表が受け付けられるようになった。さらに1987(昭和62)年になって,日本看護歴史学会が設立され,『日本看護歴史学会誌』の創刊により研究論文の掲載も可能になった。しかし,現在も論文のほとんどは,大学・短期大学発行の紀要か,所属大学の史学部などの研究誌,あるいは一般誌の掲載にとどまっている。看護歴史研究の充実を図るためには,歴史研究方法の熟達と並行して,先行研究が検索できる状況を整備することが不可欠である。
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