焦点 Burnout
解説
米国におけるBurnoutに関する概要,研究の動向,今後の課題
稲岡 文昭
1
1日本赤十字看護大学
pp.140-146
発行日 1988年1月15日
Published Date 1988/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200963
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はじめに
ここ4〜5年,わが国でもやっと看護者の精神健康やBurnoutに関心がもたれるようになり,その重要性が看護ケァにかかわる過程の中で認識されるようになってきた。この領域では,先進的な研究や関心がもたれている米国のBurnoutに関する概念,研究,今後の課題について,研究者,理論家,臨床家,コンサルタントなどの論文を中心に,簡潔に解説を加えながら紹介していきたいと思う。
そもそもBurnoutとは,Websterの辞書によれば「エネルギー,力,資源などが過度に消費されすり減ってしまう,あるいは疲弊してしまうこと」と定義されているが,1960年代のアメリカのヘルスケア領域では,全く手の施しようもなくなった麻薬中毒者の状態を指す言葉であった。しかしながらBurnoutという概念が学問領域で取り上げられてきたのは,初期の研究者であり,精神分析の訓練を受けた臨床精神科医Freudenbergerによるところが大きい。彼のBurnoutに関する研究1)は,職場のストレス状況における個人の心理的能力や脆弱性についてケース分析を行ない,BurnoutのダイナミックスやBurnoutに導く心理的要因.さらにBurnoutに陥る過程などに焦点をあてている。この研究結果が1974年,Journal of Social Issuesに掲載され,多くの臨床家や研究者の注目するところとなった。
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