焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅳ)—20世紀から21世紀へ向けて
母性看護の研究の動向と今後の課題
石村 由利子
1
,
三枝 清美
1
,
澤井 早苗
1
,
今田 葉子
1
,
村本 淳子
1
,
永見 桂子
1
,
前原 澄子
1
1三重県立看護大学
pp.185-199
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900611
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はじめに
産婦人科看護から脱皮し,母性看護学が誕生して半世紀を経過した。この間,看護系大学・短期大学の増設,関連学会の設立など,研究を進める環境も次第に整ってきている。数が増えた研究者らによって,母性看護学構築のための研究が進められている。
一方,母性看護実践を取り巻く社会環境はさまざまな変化をみせている。少子化傾向や産婦人科医療・生殖医療の発展は,出産のあり方の選択・母子関係・不妊症治療に伴う問題などに大きな変革をもたらし,看護のあり方にも考慮するべき多くの問題を引き起こしている。性行動の変容は10代妊娠などの思春期の問題や性感染症の増加を引き起こし,社会問題としても憂慮すべき状況になっている。また,これまで陰におかれてきた更年期女性の健康問題が急激にクローズアップされ,更年期障害や骨粗鬆症に関連する健康問題が取り上げられることが多くなった。母性看護の対象は,妊産褥婦・新生児や婦人科疾患を持つ女性のみでなく,ライフステージすべての女性が対象であるといわれて久しいが,このように現代の母性の健康に関する問題をみていくと,まさにすべての女性のライフステージにわたっている。
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