焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅲ)—20世紀から21世紀へ向けて
わが国における老年看護学研究の動向と今後の課題
北川 公子
1
,
萩野 悦子
2
,
中島 紀恵子
1
1北海道医療大学看護福祉学部(老年看護学)
2北海道医療大学大学院
pp.467-477
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900582
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はじめに
わが国における老年看護学教育,研究の歴史はまだ浅い。高齢社会の多様なニーズに応えることのできる看護職の育成を図るために,「老年看護学」という教科目が看護教育カリキュラムの中に位置づけられたのは1989年のことである(1997年のカリキュラム改正までは「老人看護学」)。1989年はちょうど,ゴールドプランが策定され,高齢者保健福祉に対する総合的な取り組みが始まった年にあたる。
それから6年。寝たきり老人ゼロ作戦,福祉八法の改正,老人訪問看護制度の創設,新ゴールドプランの策定など,さまざまな高齢者施策が推進される大きな潮流にのって,1995年に日本老年看護学会は設立された。設立総会・準備会で司会を務めた中島(1995)は,老年看護に携わる者たちの当時の心境を,次のように記している。「本学会に参加したメンバーの多くは,現在,学び,研究し,教育プログラムを開発実行し,時には社会制度そのものの軌道修正にも加わるという三重・四重苦を味わっていると思われる。しかし将来を展望すれば,夢多い苦楽とはいえまいか」と。
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