焦点 実践に向けた高齢者ケア研究の方向性と課題
わが国における高齢者のうつに関する研究の動向と課題
井出 訓
1
,
高岡 哲子
2
1北海道医療大学看護福祉学部
2北海道医療大学看護福祉学部大学院
キーワード:
うつ
,
高齢者
,
看護研究
,
看護ケア
,
実態
Keyword:
うつ
,
高齢者
,
看護研究
,
看護ケア
,
実態
pp.389-405
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900690
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はじめに
今日のわが国は,急速な高齢化に伴い世界有数の長寿国となった(厚生統計協会,2001)。そうしたなか,WHOが2000年にはじめて健康寿命を発表し,単に長生きをすることばかりではなく,質を保ちながら豊かで生き生きとした生活を送ることに注目が集まりはじめている。近年,高齢者の就業理由に,「健康」と「生きがい」のため,との回答が高くなっている(厚生省,2000)ことや,高齢者のボランティア人口が増加していることなどは,こうした考え方が一般国民の間にも定着をはじめたことの裏づけと考えられる。
高齢者が豊かで生き生きとした生活をめざす時,健康の問題を避けては通れない。ことに定年,子供の独立,友人や配偶者との死別など,多くの喪失を体験する老年期における心理・精神的健康は,高齢者の生活を維持する要になるといっても過言ではない。
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