焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅱ)—20世紀から21世紀へ向けて
わが国のターミナルケアに関する研究の動向と今後の課題
射場 典子
1
,
川越 博美
1
1聖路加看護大学
pp.261-271
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900562
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はじめに
近年,医療技術はめざましい発展を遂げている。特に病気の予防,診断,治療に関しては,これまで不可能とされてきた多くのことが次々と可能になりつつある。しかしながら,そのような時代にあっても,いまだ死に至る病があり,われわれの誰しもが死に至る存在であることには変わりがない。ことに,がんはわが国において,1981年以来約20年間にわたり,死因第1位を占めており,がんによる死亡者数は27万5000人を越え,今後さらに増加していくことが予想される。一方,高齢化社会が進んでいくなかで,85歳以上の死亡者数が25万人を越えており,高齢者の死も一層大きな問題となるだろう。どのような時代にあっても,誰にでも訪れるであろう死をどのように迎えるか,最期の時までいかに充実した生を生きて尊厳ある死を迎えられるかということは,人間にとって根源的なテーマであり,看護がそこで果たす役割は非常に大きい。
本稿では,わが国におけるターミナルケアに関する研究の現状と動向を検討し,21世紀の実践を支える研究の課題について考察してみたい。
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