焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題—20世紀から21世紀へ向けて
褥瘡のケアに関する研究の動向と今後の課題
真田 弘美
1
,
大桑 麻由美
2
1金沢大学(医学部保健学科)
2金沢大学
pp.195-202
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900556
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はじめに
褥瘡は,身体の接触面から受ける圧迫により組織の末梢血管が閉塞し,壊死をおこす病態である1)。この圧迫の原因は,臥床患者では「床」,座位患者においては「椅子」である。患者の24時間の生活を整える看護者は,褥瘡発生の危険性のある患者の「床」や「椅子」を整える責任があるといえる。また,脆弱した組織に対して適切な栄養やスキンケアを施すことも大切な看護となる。
褥瘡のケアに関して,今世紀の一番の変化は,研究の積み重ねによって,「看護の恥」といわれた褥瘡を,科学的視点で看護者がアセスメントをできるようになったことである。その原動力となったのは,創傷ケアを専門とするETナースやWOCナースであり,褥瘡は予防でき,治すことができる証拠を科学的根拠のある実践をもって示したことにあるといえよう。さらに,この実践活動が,医師をはじめ褥瘡ケアに携わるコメディカルの意識を高め,1998年には日本褥瘡学会が発足し,1999年には学術集会の開催,機関誌における原著論文の発表と,褥瘡に関する研究は目覚しい発展を遂げている。
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