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はじめに
回復期リハビリテーション病棟は,急性疾患による要介護状態を,集中したリハビリテーションにより改善させる,いわゆる「リハビリテーション前置」を体現させる場として,介護保険制度の施行と同期して2000年に制度化された.日常生活動作(activities of daily living;ADL)能力を向上させるだけでなく,住み慣れた地域への在宅復帰が重要な目的とされた.
その後も日本の高齢化は進展し,2008年の社会保障国民会議で団塊の世代が後期高齢者に入る2025年に向けた医療・介護機能の再編として,「入院医療の機能分化と連携」,および「地域包括ケア体制の整備」が2大目標とされた.2014年には病床機能報告制度が導入され,医療の機能分化を具体的に進めるため,医療機関が医療機能を選択して各地域で調整する仕組み(地域医療構想)が推進されている1).これらに伴い急性期・回復期・維持期の医療機能が定義され,リハビリテーション機能は図1のように整理されている.
回復期リハビリテーション病棟は2016年に実績指数が導入され,2018年にはその基準が引き上げられた.効果的・効率的な入院リハビリテーションがより一層求められ,平均在院日数は短縮傾向にある.しかし回復期リハビリテーション病棟は「早く良くして早く地域に返す」だけが目的ではない.「定められた期間内に,住み慣れた地域へソフトランディング(軟着陸)させ,その生活をできるだけ長く継続させる」ことが重要である2).そのため回復期リハビリテーション病棟は,機能分化が進む入院医療と地域包括ケアをつなぐ重要な役割を担っている.
本稿では地域生活へのソフトランディングと退院後のフォローアップについて,まず診療報酬や病院機能評価で求められているものについて述べ,さらに西広島リハビリテーション病院(以下,当院)の取り組みを紹介する.
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