連載 日本の乳信仰をめぐる旅・12【最終回】
おっぱい神社・おっぱい寺・乳銀杏・乳地蔵・乳神様たち
奥 起久子
1
,
野口 智子
1
,
地本 淳子
1
,
内岡 恵
1
,
瀬川 雅史
1
1おっぱい神社等を記録するワーキンググループ
pp.894-895
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201935
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豊間根のおっぱいの祠
岩手県下閉伊郡山田町豊間根
山田町役場から8kmほど北上した「田名部」バス停のすぐそばに,国道45号線を背にして祠が建っている。祠の中には布製の乳房模型がたくさん下げられているが,他の場所と違って丸くなく筒状である。祠自体の起源や由緒などは伝わっておらず,「下がっている布製の乳房を1つ借りて持ち帰り,2つにして返すと願いが叶う」という母乳を出すための願掛け方法のみが伝わっている。
祠の周囲には馬頭観音の石碑などいろいろな石碑が立っている。この地区にはなぜか石碑がたいへん多いという。この祠も石造りである。地名の豊間根は,平安時代後期にあった「前九年の役」(1051〜1062年)で知られる安倍貞任の弟・正任の子孫がこの地に住んで豊間根氏を名乗ったことによると伝えられている。
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