連載 日本の乳信仰をめぐる旅・2
おっぱい神社・おっぱい寺・乳銀杏・乳地蔵・乳神様たち
奥 起久子
1
,
野口 智子
1
,
地本 淳子
1
,
内岡 恵
1
,
瀬川 雅史
1
1おっぱい神社等を記録するワーキンググループ
pp.80-81
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201719
- 有料閲覧
- 文献概要
金剛寺の子安地蔵 北海道檜山郡江差町字中歌町168
金剛寺にある子安地蔵は大変霊験あらたかで,祈祷すると母乳が良く出るようになるほか,虫切り(疳の虫を抑えること),子授け,安産などにもご利益があるという伝承が江差町ホームページにある。「木喰仏」で,町指定有形民俗文化財に指定されている。木喰上人は安永8(1779)年に金剛寺を訪れてこの木像を彫った。当時は疱瘡が大流行していて,金剛寺の過去帳にはこの年に34人の子どもの戒名が記されているという。実はこの子安地蔵が最初の作と言われ,後に彫られた仏像に見られるような丸みがまだないそうである。木喰上人は93歳で亡くなるまでに全国で1000体以上の木造仏を作成した。現存するものは600体以上と言われるが,そのうち子安地蔵はこの金剛寺のものを含めて17体,子安観音は寛政4(1792)年の熊本(この子安観音にも乳信仰が伝わっている)を手始めに21体あるとされる。
金剛寺は寛永元(1624)年の開山で,この木喰仏以外にも聖観音や十王図(地獄極楽絵図)など,文化的価値の高い物品が数多く保存されている。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.